大福帳
 

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2006年 09月 08日 (金) 00:17
セルフ仮面2  ゆめのチャンネル剛田


ドラえもんに出てくる戦争 「変ドラ」賛に代えて」に、画像と文章を追加しました。その間に、一から書き直したいなあという気持ちがムラムラと…。

一昨日「あーっ!編み直しじゃあーーーーー」と時折叫びながら、自分の服をほどいては編む「もののけ『アミナオシ』」が出てくる映画『ウール100% 』を観ました。その時ふと、ああ私はこれの書く版「カキナオシ」をリアルでやってるんだなあと思って、話に関係ないところでしょげました。

以下とりあえずカキナオシ衝動を抑えるために、冗長なメモのまんまですが、続きを載せます。

前回取り上げた電波道具「平和アンテナ(25)」のように、ドラえもんには正義を扱った話がけっこうあります。どれもF氏の透徹したクールな眼差しに貫かれていて、大変すばらしい仕上がりです。

ドラえもんはスポーツ観戦がわりと好きなようで、ボクシングの放送には「相手はフラフラだぞ!」「そこだ!やっちまえ!」と、のび太と一緒に盛り上がっています(「腹ぺこのつらさを知ってるかい(44)」など。ドラえもんの燃え方から察するに、白井義男さん(1943年プロデビュー・1952年世界フライ級王者・以後4度防衛)や森岡栄治さん(1965年から全日本選手権4連覇・1968年メキシコ五輪でバンタム級銅メダル)が活躍していた頃のボクシングがモデルなんでしょうかね)。

しかし同じテレビの放送でも、実に醒めた態度をとるジャンルがあります。それは「正義の味方」モノです。「変ドラ」でもおなじみの白ドラに登場していただきましょう(白ドラに関しては号外まで出されています。真・白ドラ-号外)。

Sukoshi Fushigiの傑作「正義のみかたセルフ仮面(12)」
セルフ仮面

ピンチには必ず助けてほしい、自分は手を汚さずに誰かがやっつけてほしい、
などというのび太の都合よい夢想を見透かしたように、
白け顔でこれぞ現実という反応をするドラえもん。
セルフ仮面3
この後、貧弱な体型の「セルフ仮面」がのび太の前に現れるのですが、正体はその名のとおり、タイムマシンでやってきた1日後ののび太でした。ジャイアンの暴力解決法も、かあちゃんにチクる(トップ画像左)というパッとしないやり方です。

なお、白ドラが例外的に夢中になるヒーローモノが、「平和アンテナ」のムテキマンと「宇宙探偵サラバ」(「一発逆転ぱくだん(+3)」)です。両方の番組は、茶の間で発信された電波/爆発した爆弾(立場が逆転する)が、即効で画面向こうの物語を変えている状況から察するに、あの大がかりなアクションをライブ中継していたようです。よほど画期的だったのでしょう。あるいは、ドラえもんの機械の調子がいまいちだった可能性もあります。


正義かどうかはわかりませんが、命令に忠実なパワーをのび太が味方につける話には、「架空人物たまご(40)」があります。
殻を割るとお話の中の有名人が出てきて、頼みごとを引き受けてくれる演劇的なたまごセット。のび太が出したアメリカンヒーロー・マイティマンは、ケン玉をのせるところをしずちゃんに見せたいからガードしてという低級な仕事も、「わかった、かっこよくのせるまで、だれにもじゃまさせない」と引き受けるナイスガイです。
架空人物たまご

このように、命令にきちんと従うパワーが持ちうる不条理について何も考えていなかったために、のび太は事実上パワーをコントロールできなくなります。

ヒーロー不在でも、組織力でヒーロー以上のパワーを持つ道具は、より熟考して使わないととんでもないことになります。
パズルに夢中なドラえもんが、のび太に懇願されセカセカとポケットから出しながら「命令!いつ、どんな時にも、のび太くんを守ること!」と使命を与えた「おもちゃの兵隊(4)」。のび太との蜜月は最初だけで、「いちどぼくの敵だと思いこむと、てってい的にやっつける」ために、のび太の制止を無視します。

というより、そんなもの聞く筋合いはないのです。のび太に危害を加えるものだと思い込みさえすれば、命令を完遂するためにそれを攻撃できる、いや攻撃しなければならないのですから。むしろ制止しようと立ちはだかるのび太は、邪魔ですらあります。結局おもちゃ兵は正しいまま、恐怖集団と化しました。

ほんもの図鑑

怒り狂うマンモスを捕らえようと、ほんものが飛び出してくる図鑑を使ってみます。道具を使った金もうけ(もちろん、たまに道徳上よいこともします)に関しては才能を発揮するのび太なのに、ここでは使い方に冴えがみられません。チームワークとか一族以外との連携は不向きそうな、スタンドプレイヤーばかり出してます。「ほんもの図鑑(6)」

こう見るとドラえもんに出てくる人物の中では、出来杉が一番ヒーローの資質を持っていそうです。が、彼はのび太の劣等感を刺激する文武両道で朗らかな少年として描かれているだけで、正しさを自認する存在ではありません。たまにジャイアンやのび太につけこまれて、宿題をやらされたりする弱さもみせます。

ソノウソホント
おまけ
昼寝中、スーパーダンに仕立て上げられるのび助。「ソノウソホント(4)」


さて、日常で自分が正義の味方になりたい、というのび太の目論見もうまくいきません。白けるドラえもんにねだって未来のおもちゃ「フクロマンスーツ(34)」を着込み、スーパーヒーローになったはずののび太は、謎の変態として街の噂になってしまう。スーツのかっこわるすぎるデザイン(映画のコンドルマン似)がすべてを物語ります。

「スーパーダン(3)」では、ジャイアンのスーパーダン気取りに困ったのび太が、「未来の世界の子どもたちが、スーパーダンごっこに使うふろしき」を出してもらいます。僅差でジャイアンに勝利するものの、腕をふるう機会がないのでジャイアンよろしくイライラし、煙たがられるのび太。最後はどろぼうネコという年季の入ったワルに、ふろしきマントを盗られ、あえなく敗北します。
こりずに、蟻とアリを引っかけた増強剤「無敵コンチュー丹(19)」を飲んだのび太。戦いぶりを虫に例えられたモハメド・アリのような華麗なパワーを手に入れますが、虫取り網におびえ殺虫剤に失神します。どうしてもその強さは相対的です。
コンチュー丹

きわめつけのカッコワルは、ドラえもんがすべてを完璧に仕込んだはずなのに、失敗してのび太が皆の前で怪獣に踏みつぶされた「ウルトラヒーロー(未25)」でしょう。「行け!ノビタマン(21)」は、たまたま引力の弱い星に漂着したので、そこにいた非日常の間だけは、のび太でさえスーパーマンになれました。


少し目先を変えて、夢の中でも覗いてみることにしましょう。ドラえもんには寝て見る夢の話もよく出てきますが、各人が演じる正義の味方はバレエの主人公もびっくりの他愛なさです。現実ではわりと抜け目のない台本を練るスネ夫まで、とてもゆるい。
ゆめのチャンネル骨川

この後、スネ夫は1+1を解くだけで拍手喝采され、先生は土下座というお粗末さ(「ゆめのチャンネル(15)」)。トップ画像右はジャイアンの夢ですが、戦う相手はちんけな怪獣です。彼らはいちおう破綻のない活躍をしていますが、それはそもそもの問題がやけにミクロな夢サイズで、振りおろす正義も他愛のない、小さなもので済むからのようです。

ただしスネ夫の夢は、ジャイアンのように「自分が救ってやるべき軟弱者代表=のび太」ではあきたらないのか、のび太=子飼いの配役がデフォルトです。このへんの陰湿さで、スネ夫は沽券をキープ(「夢はしご(28)」「ユメコーダー(未24)」)。
夢はしご  ユメコーダー

のび太には、あやとりの他に射的という特技があります。それとF氏が親しんだ西部劇が合体したエピソード(というより、西部劇を描くためにこの設定ができた気がします)には、往年の名作映画のフォーマットにのっとった善悪の配役が出てきます。この場合、のび太はうまいことヒーローになって活躍します。ただこういう話は善が悪を倒す筋より、西部劇をよく知る人が、ガンマンの決闘スタイルや列車強盗との絡みなど、その魅力をエキサイティングに語ることに力点を置いた作品だろうと思うので割愛します。

正しい道具─凶悪とヘボ─ 続々「変ドラ」賛に代えて
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